こんばんは。YOKOYAMAです。
名残惜しいことにゴールデンウイークもあっという間に終わってしまいました。今年も海、湖、水芭蕉、温泉、花見、バーベキューと休暇を満喫できました。欲を言えば、もう少し晴れ間が多ければよかったのですが。
さて以前、レリーフの生成についてまとめましたが(関連記事 「"RELIEF” という表現方法とその意味」)、今日はそのレリーフ処理を縄文土器片に適用してみます。
上記、関連記事のなかで、レリーフの生成は、3D点群から生成したポリゴンの「法線ベクトル」と、任意に設定した「光線のベクトル」との成す角度である、という原理はお話しました。この原理によって実際にレリーフ画像を生成するためには、あらかじめ以下2つのことを決める必要があります。
1)ひとつは、土器の3Dデータを見る方向(=土器の姿勢)です。
これは実測図作成になぞらえて言えば、表裏、天地、傾きを決めること、すなわち方眼紙の上に土器片を固定するイメージです。こうしてデータのポジションを決定することによって投影面(実測図で言えば方眼紙に相当する面)が確定します。
2)2つめは、光源のベクトルです。
こちらも例えて表現すると1)で決めた投影面を水平な地面と仮定したとき、太陽(光源)の方位角度(sun azimuth angle)、および高さの角度(sun elevation angle)、2つの値を指定します。
こうして「法線ベクトル」と「光線のベクトル」が定まるわけです。
◇
当然ですが、光源のベクトルを変化させると土器片の表現が変化します。以下、sun azimuth angle を45°づつ変化させた、8つの画像を列挙します。
1) sun azimuth angle:0°/ sun elevation angle:20°
2) sun azimuth angle:45°/ sun elevation angle:20°
3) sun azimuth angle:90°/ sun elevation angle:20°
4) sun azimuth angle:135°/ sun elevation angle:20°
5) sun azimuth angle:180°/ sun elevation angle:20°
6) sun azimuth angle:225°/ sun elevation angle:20°
7) sun azimuth angle:270°/ sun elevation angle:20°
8) sun azimuth angle:315°/ sun elevation angle:20°
輪積みの状態を観察するには、光線のベクトルが土器の天地方向と平行する sun azimuth angle:0°または180°が最適ですし、縄文の撚りに着目する場合は「条」の向き、「節」の向きのいずれとも平行しないベクトル 、すなわちsun azimuth angle:0°、90°、180°、270°の画像が適していると言えます。
さらに磨滅が顕著で文様が不鮮明な縄文土器などには、sun elevation angle の値を小さくなるように調整します。すると、ちょうど夕方のように影が大きくなり、コントラストが高くなります。こうした光源ベクトルの調整によって、器面の凹凸をより鮮明に浮き立たさせることができるわけです。
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3Dデータを取得しておけば、後から演算のパラメータを変えることによって表現を最適化することができます。アーカイブズユーザーの多彩なニーズに対応できるかたちだと言えるでしょう。
それでは。
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